グローバルX 防衛テックとは?
グローバルX 防衛テック-日本株式 ETF(513A)は、日本の防衛・安全保障関連企業に投資するETFです。
名前に「防衛テック」とある通り、戦闘機や艦船といった防衛装備品を作る企業だけを集めたものではありません。通信、レーダー、宇宙、サイバーセキュリティ、センサー、制御機器、精密機械など、現代の安全保障を支える技術を持つ日本企業にも広く投資します。
連動する指数は「Mirae Asset Japan Defense Tech Index(配当込み)」です。東京証券取引所に上場する防衛テック関連の日本株10〜15銘柄で構成されており、国家安全保障の強化から恩恵を受けやすい企業を選んでいます。なお、非人道的兵器への関与が確認された企業は組み入れない設計になっています。
防衛関連と聞くと少し特殊な印象を持つ方もいるかもしれません。ただ近年は、地政学リスクへの関心が高まる一方で、AI・IoT・宇宙・サイバー・ドローン・通信といった技術の重要性も増しており、防衛産業自体が「テクノロジー産業」に近い性格を帯びてきています。513Aは、そうした日本の防衛テック関連企業にまとめて投資できるETFです。
グローバルX 防衛テックの基本情報
※数値は主にグローバル X 公式ページ、2026年5月1日時点の情報を参考にしています。
- 正式名称:グローバルX 防衛テック-日本株式 ETF
- ティッカー:513A
- 運用会社:Global X Japan株式会社
- 連動指数:Mirae Asset Japan Defense Tech Index(配当込み)
- 上場市場:東京証券取引所
- 設定日:2026年2月24日
- 経費率:年率0.649%(税抜0.59%)
- 組入銘柄数:13銘柄
- リバランス頻度:年2回
- 配当頻度:年2回
- 配当利回り:実績なし
- 純資産総額:184.36億円 ※2026年5月1日時点
513Aは2026年2月に設定された、まだ新しいETFです。2026年5月1日時点の純資産総額は184.36億円、基準価額は92,210円、運用管理費用は年率0.649%となっています。
組入銘柄数は13銘柄と少なめで、広く分散するタイプのETFではありません。その分、防衛・安全保障というテーマに絞って集中的に投資できるのが特徴です。
分配金は年2回(決算日:2月24日・8月24日)の予定ですが、設定から日が浅いため、現時点では分配金の実績はまだありません。
グローバルX 防衛テックの構成銘柄の選定方法
- 東京証券取引所に上場している日本株が対象
- 防衛テック関連企業10〜15銘柄で構成
- 非人道兵器への関与が確認された企業は除外
- 「サイバーセキュリティ」「防衛テクノロジー」「高度な軍事システム・ハードウェア」「防衛・国家安全保障関連の中核サプライヤー」に着目
- 防衛産業関連売上や開示資料などをもとに、銘柄を分類
- 銘柄は「Established」「Emerging」「Potential」の3カテゴリーに分類
- 組入比率は、テーマ関連度を考慮した浮動株時価総額加重で決定
- 1銘柄あたりの組入上限は、Established銘柄が15%、その他カテゴリーは5%
- 指数の銘柄入れ替え・比率調整は年2回、5月と11月
このETFを見るときに押さえておきたいのは、「防衛関連=重工メーカー」ではないという点です。
川崎重工業・三菱重工業・IHIといった重工系企業が大きな比率を占めているのは確かです。ただそれだけでなく、日本電気・スカパーJSAT・FFRIセキュリティ・Synspective・アストロスケールなど、通信・サイバー・宇宙・衛星・セキュリティ分野の企業も組み入れられています。
銘柄の選定にあたっては、AI・IoT・AR/VR・ビッグデータ・ロボット・ドローン・宇宙・レーダー・サイバーセキュリティなど、防衛分野で存在感を増す技術領域が考慮されています。
513Aは「防衛装備品ETF」というよりも、日本の防衛・安全保障を支えるサプライチェーン全体に投資するETFと捉えるほうが実態に近いでしょう。
グローバルX 防衛テックの全構成銘柄と比率
データ取得日:2026年3月31日
情報元:Global X Japan「513A 月次レポート/ファクトシート」
| ティッカー | 構成銘柄 | 国名 | 比率 | 説明 |
|---|---|---|---|---|
| 7012 | 川崎重工業 | 日本 | 19.5593% | 航空宇宙、艦艇、輸送機器などを手がける重工メーカー。防衛装備・航空関連の中核企業。 |
| 6503 | 三菱電機 | 日本 | 16.1735% | 防衛用電子機器、レーダー、通信、宇宙・衛星関連などに強みを持つ総合電機メーカー。 |
| 7013 | IHI | 日本 | 15.8011% | 航空エンジン、宇宙、艦艇関連などを手がける重工メーカー。航空・防衛サプライチェーンの主要企業。 |
| 7011 | 三菱重工業 | 日本 | 14.7805% | 航空機、艦艇、ミサイル、防衛システムなど幅広い分野を担う日本を代表する重工企業。 |
| 5631 | 日本製鋼所 | 日本 | 8.8843% | 防衛・エネルギー・産業機械向けの素材・機械技術を持つ企業。重工系サプライチェーンの一角。 |
| 6701 | 日本電気 | 日本 | 8.5388% | 通信、防衛システム、サイバーセキュリティ、電子戦関連などに関わる総合IT・電機企業。 |
| 9412 | スカパーJSATホールディングス | 日本 | 6.3966% | 衛星通信・宇宙インフラ関連企業。防衛・安全保障において重要な通信インフラを担う。 |
| 6507 | シンフォニア テクノロジー | 日本 | 3.1966% | 航空宇宙、防衛、モーションコントロール、電機機器などを手がける技術系メーカー。 |
| 6814 | 古野電気 | 日本 | 2.3525% | 船舶用電子機器、レーダー、航海機器などに強みを持つ企業。海上安全保障との関係が深い。 |
| 186A | アストロスケールホールディングス | 日本 | 1.2408% | 宇宙デブリ除去や衛星寿命延長などを手がける宇宙関連企業。 |
| 7721 | 東京計器 | 日本 | 1.2138% | レーダー、航海機器、計測・制御機器などを扱う精密機器メーカー。 |
| 290A | Synspective | 日本 | 0.8993% | 小型SAR衛星を活用した地表観測サービスを展開する宇宙・衛星データ関連企業。 |
| 3692 | FFRIセキュリティ | 日本 | 0.4289% | サイバーセキュリティ製品・サービスを提供する企業。 |
構成銘柄を見ると、上位は重工系に集中しています。川崎重工業・三菱電機・IHI・三菱重工業の4銘柄だけで全体の約66%を占めており、分散性はそれほど広くありません。
513Aは「日本の防衛テックに幅広く分散」というよりも、重工・防衛装備・防衛インフラ企業を中心に、宇宙・サイバー・通信関連を一部加えた構成と見るほうが実態に近いです。
一方で、アストロスケール・Synspective・FFRIセキュリティといった新興企業も組み入れられています。比率はまだ小さいものの、宇宙・衛星・サイバーといった領域が含まれることで、従来型の防衛株だけにはとどまらない構成になっています。
グローバルX 防衛テックの過去のリターン
データ基準日:2026年5月1日
情報元:Global X Japan公式ページ
| 期間 | 計測期間 | リターン |
|---|---|---|
| 1年 | 該当データなし | 設定から1年未満 |
| 3年 | 該当データなし | 設定から3年未満 |
| 5年 | 該当データなし | 設定から5年未満 |
| 10年 | 該当データなし | 設定から10年未満 |
| 設定来 | 2026/02/24 → 2026/05/01 | -7.79% |
513Aは2026年2月24日に設定されたばかりのETFで、長期の運用実績はまだありません。公式ページで確認できるリターンは、2026年5月1日時点で「1か月:+2.90%」「設定来:-7.79%」となっています。
ひとつ注意しておきたいのは、ETF設定前の指数パフォーマンスとETF本体の実績は、切り分けて考える必要があるという点です。東証の資料などで対象指数の過去5年リターンが示されることがありますが、これはETFの運用実績ではなく、指数の過去データやバックテストに基づく情報です。参考程度にとどめておくのが無難でしょう。
NASDAQ100と日経平均との比較
513Aは設定からまだ日が浅いため、ここでは設定日付近から2026年5月1日までの短期的な値動きとして確認します。

| 指数・ETF | 比較期間 | リターン |
|---|---|---|
| グローバルX 防衛テック(513A) | 2026/02/24 → 2026/05/01 | -7.79% |
| NASDAQ100 | 2026/02/24 → 2026/05/01 | 約+10.94% |
| 日経平均株価 | 2026/02/24 → 2026/05/01 | 約+3.82% |
NASDAQ100はこの期間に24,977.04から27,710.36へ、日経平均は57,321.09から59,513.12へそれぞれ上昇しています。一方、513Aは同期間にマイナスとなっており、両指数に対して出遅れた格好です。
背景として考えられるのは、防衛関連株が2024〜2025年にかけて大きく買われており、ETF設定時点でかなりの期待が株価に織り込まれていた可能性があるという点です。
ただし、この短期間の結果だけで「513Aは弱い」と判断するのは早計です。テーマ型ETFは資金流入や利益確定の影響を受けやすく、市場全体とは異なる動きをしやすい面があります。513Aは13銘柄に絞った集中型のため、上位銘柄の株価動向がパフォーマンスに直結しやすい点も念頭に置いておく必要があります。
NASDAQ100は米国大型テック中心、日経平均は日本の大型株全体、513Aは日本の防衛テックに絞った集中型と、それぞれ性格が異なります。513Aはコア資産として広く持つより、値動きのクセを理解したうえでサテライト的に活用するETFと考えるのが自然でしょう。
どの証券会社で購入できる?
513Aは東証上場の国内ETFで、NISA成長投資枠の対象となっています。主要な証券会社であれば幅広く取り扱われており、購入手段に困ることはほとんどないでしょう。
| 証券会社 | 取扱 | 新NISA対応 |
|---|---|---|
| SBI証券 | ○ | ○ |
| 楽天証券 | ○ | ○ |
| マネックス証券 | ○ | ○ |
| 松井証券 | ○ | ○ |
| 三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券) | ○ | ○ |
グローバルX 防衛テックの将来性
将来性を考えるうえで、注目しておきたいポイントが3つあります。
1つ目は、地政学リスクの高まりです。 世界的に安全保障環境が不安定になるなか、防衛費の拡大や装備の高度化は中長期にわたるテーマになりやすいです。日本でも防衛力強化は重要な政策課題となっており、関連企業への注目は続きやすいと考えられます。
2つ目は、防衛分野のテクノロジー化です。 現代の防衛では、装備品の製造だけでなく、通信・サイバー・衛星・AI・レーダー・センサー・無人機・データ解析といった技術の重要性が増しています。Global X Japanも、防衛分野へのAI・IoT導入が進んでおり長期的な需要拡大が期待できると説明しています。
3つ目は、日本企業のサプライチェーンです。 日本には完成品メーカーだけでなく、部品・素材・制御機器・通信機器・精密機器に強い企業が多くあります。513Aはそうした防衛・安全保障のサプライチェーン全体をまとめて取り込める設計になっています。
一方で、リスクも押さえておく必要があります。
防衛関連は政策依存度の高いテーマです。政府の予算配分や防衛政策の方向性によって、関連企業の受注見通しが大きく変わります。また、すでに株価が上昇した銘柄も含まれており、期待が先行しすぎると短期的な調整が入りやすくなります。
加えて、513Aは13銘柄に絞った集中型ETFです。上位4銘柄の比率が高いため、三菱重工業・川崎重工業・IHI・三菱電機の値動きがパフォーマンスに直結しやすく、分散性はそれほど高くありません。
長期的な成長テーマとして一定の魅力はありますが、ポートフォリオの中心に据えるより、NASDAQ100・全世界株式・S&P500・TOPIXといったコア資産と組み合わせるサテライト的な位置づけが合っているETFだと思います。
どのような人に向いているか?
向いている人
- 日本の防衛・安全保障テーマに投資したい
- 三菱重工業や川崎重工業など、防衛関連の日本株にまとめて投資したい
- 宇宙、サイバー、通信、レーダーなどの防衛テック分野に関心がある
- 新NISAの成長投資枠でテーマ型ETFを持ちたい
- コア資産とは別に、成長テーマへのサテライト投資をしたい
- 値動きが大きくても、長期目線で保有できる
向いていない人
- 低リスクで安定したETFを探している
- 1本で広く分散された日本株ETFを買いたい
- 短期の値動きに不安を感じやすい
- 防衛関連テーマに心理的な抵抗がある
- すでに三菱重工業、川崎重工業、IHIなどを多く保有している
- 高配当目的でETFを選びたい
513Aはテーマ性の強いETFで、防衛テックに魅力を感じる人には面白い選択肢ですが、万人向けではありません。
特に気をつけたいのは組入銘柄数の少なさで、13銘柄しかないため、通常のインデックスファンドのような広い分散効果は期待しにくいです。上位銘柄の値動きがETF全体に直結しやすい点は、あらかじめ理解しておく必要があります。
一方で、日本の防衛・宇宙・サイバー・通信・重工業といった分野にまとめて投資できるETFはそう多くありません。日本の安全保障関連テーマに長期で向き合いたい人にとっては、使い勝手のよい選択肢になると思います。
まとめ
グローバルX 防衛テック-日本株式 ETF(513A)は、日本の防衛・安全保障関連企業に投資できるテーマ型ETFです。
連動指数はMirae Asset Japan Defense Tech Index(配当込み)で、東京証券取引所に上場する防衛テック関連企業10〜15銘柄で構成されています。非人道兵器への関与が確認された企業は除外される設計です。
組入銘柄は、川崎重工業・三菱電機・IHI・三菱重工業・日本製鋼所・日本電気などが中心で、重工・防衛装備系が大きな比率を占めています。一方で、スカパーJSAT・アストロスケール・Synspective・FFRIセキュリティといった宇宙・衛星・サイバー関連企業も含まれており、従来の防衛株とは少し異なる顔も持っています。
地政学リスクの高まり、防衛費の拡大、サイバー・宇宙・AIの重要性上昇などを背景に、中長期で注目されやすいテーマであることは確かです。ただし、組入銘柄数は13銘柄と少なく、上位への集中度も高いため、値動きは大きくなりやすいです。コア資産としてよりも、サテライト的な位置づけで使うほうが向いています。
個人的には、513Aは「日本の防衛・安全保障テーマに少し乗せたい人向け」のETFという印象です。全世界株式・NASDAQ100・S&P500などをメインに持ちながら、成長テーマの一部として組み入れるなら、面白い選択肢になると思います。
