グローバルX ロボティクス&AI(2638)とは?
グローバルX ロボティクス&AI-日本株式 ETF(証券コード:2638)は、日本のロボティクス・AI関連企業にまとめて投資できるETFで、東京証券取引所に上場しています。
投資対象は、産業用・非産業用ロボット、コンピュータ支援設計、ビッグデータ、IoT、半導体など、ロボティクスとAIの発展を支える日本企業です。「ロボットメーカーだけ」に絞ったETFではなく、工場の自動化、AIによるデータ処理、センサー、制御機器、産業機械、AIソフトウェアといった周辺領域まで幅広くカバーしているのが特徴です。Global X Japan公式ページでも、ロボティクスおよびAIに関連した商品・サービスを提供する日本企業への投資を目指すETFと紹介されています。
ロボットやAIと聞くと、海外の大型テック企業をイメージする方も多いかもしれません。ただ、日本にもファナック、キーエンス、安川電機、SMC、ナブテスコ、オービックなど、製造業・自動化・データ処理の分野で高い競争力を持つ企業が数多くあります。2638は、そうした日本企業に分散して投資できるテーマ型ETFです。
基本情報
※数値は主にGlobal X Japan公式ページ、2026年4月24日時点の情報を参考にしています。
- 正式名称:グローバルX ロボティクス&AI-日本株式 ETF
- ティッカー:2638
- 運用会社:Global X Japan株式会社
- 連動指数:Indxx Japan Robotics & AI Index(配当込み)
- 上場市場:東京証券取引所
- 設定日:2021年6月21日
- 経費率:運用管理費用 0.649%(税込・税抜0.59%)
- 組入銘柄数:24銘柄
- リバランス頻度:年2回、2月・8月の最終営業日
- 配当頻度:年2回、6月下旬・12月下旬
- 配当利回り:0.32%
- 純資産総額:82.45億円
2638は、国内上場ETFのなかでは比較的わかりやすいテーマ型ETFです。投資対象が日本株なので、米国ETFのように為替変動を直接受ける商品ではありません。ただ、組み入れ企業の業績は海外需要や為替の影響を受けるため、「円建てだから国内要因だけで動く」とは言い切れない点には注意が必要です。
経費率は税込0.649%で、TOPIXや日経平均に連動する低コストETFと比べると高めです。とはいえ、ロボティクス・AIというテーマに絞った銘柄選定を行うETFである以上、一般的なインデックスETFよりコストが上がるのはある程度やむを得ません。長期保有を考えるなら、テーマの魅力とコストのバランスをどう見るか、が判断のポイントになりそうです。
構成銘柄の選定方法
2638が連動を目指す「Indxx Japan Robotics & AI Index」は、ロボット・AI産業に関係する日本上場企業を対象にした指数です。選定ルールの概要は以下の通りです。
- 日本に上場している企業
- 新規組入対象銘柄は時価総額500億円以上
- 既存の指数構成銘柄は時価総額400億円以上
- 新規組入対象銘柄は6か月間の1日平均売買代金が2億円以上
- 既存の指数構成銘柄は6か月間の1日平均売買代金が1億4,000万円以上
- 過去6か月間の全取引日のうち90%以上で取引されていること
- 最低10%の浮動株比率を持つこと
- 対象テーマは、産業用ロボット・自動化、無人機・ドローン、非産業用ロボット、AI、コンピュータ支援設計およびデータ処理、IoT、ビッグデータ、半導体
- Pure Play銘柄は、対象サブテーマに関する売上が全体の50%以上
- Quasi Play銘柄は、対象サブテーマに関する売上が全体の20%以上50%未満
- 半導体関連銘柄は、半導体に関する売上が0%より大きい銘柄
- Pure Play銘柄は時価総額順に最大30銘柄
- Quasi Play銘柄は時価総額順に最大10銘柄
- 構成銘柄は浮動株調整後時価総額で加重
- Pure Play銘柄の合計比率は90%
- Quasi Play銘柄の合計比率は10%
- 1銘柄あたりの上限は8%
- リバランス・銘柄入替は年2回、2月と8月の最終営業日
このルールを見ると、2638は「なんとなくロボット関連っぽい銘柄を集めたETF」ではないことがわかります。時価総額・流動性・浮動株比率といった条件をクリアしたうえで、ロボティクス・AI関連の売上比率によって銘柄を選ぶ、明確な仕組みが設けられています。
なかでも注目したいのが、Pure PlayとQuasi Playという考え方です。ロボット・AI関連の売上比率が高い企業を中心に据えながら、周辺領域の企業も一部組み入れる設計になっています。そのため、ファナックや安川電機のようなロボット色の強い企業だけでなく、オービック、JMDC、PKSHA Technology、Appier GroupといったAI・データ・ソフトウェア系の銘柄も含まれています。
全構成銘柄と比率
データ取得日:2026年4月25日
構成銘柄データ基準日:2026年3月31日
情報元:Global X Japan「グローバルX ロボティクス&AI-日本株式 ETF ファクトシート」
| ティッカー | 構成銘柄 | 国名 | 比率 | 説明 |
|---|---|---|---|---|
| 4751 | サイバーエージェント | 日本 | 9.1982% | インターネット広告、メディア、ゲームを展開。AI活用やデジタル広告領域に強み。 |
| 4684 | オービック | 日本 | 9.0055% | 企業向け基幹システムの大手。業務効率化・DX関連銘柄として組み入れ。 |
| 6861 | キーエンス | 日本 | 8.0695% | センサー、測定機器、FA機器の大手。工場自動化の中核企業。 |
| 6914 | オプテックスグループ | 日本 | 7.9491% | センサー関連企業。防犯・自動ドア・産業用途など幅広いセンシング技術を持つ。 |
| 6954 | ファナック | 日本 | 7.4952% | 産業用ロボット、CNC、工場自動化の代表的企業。 |
| 6273 | SMC | 日本 | 7.4816% | 空気圧制御機器の大手。自動化設備や工場ラインに欠かせない部品を提供。 |
| 4483 | JMDC | 日本 | 7.4229% | 医療ビッグデータ、ヘルスケアデータ分析を手がける企業。 |
| 6268 | ナブテスコ | 日本 | 7.3917% | 精密減速機、自動ドア、航空機器などを展開。ロボット部品関連として重要。 |
| 6506 | 安川電機 | 日本 | 7.0225% | 産業用ロボット、サーボモーター、インバーターの大手。 |
| 4180 | Appier Group | 日本(台湾発) | 4.6092% | AIを活用したマーケティング支援SaaSを展開するAIソフトウェア企業。 |
| 6929 | 日本セラミック | 日本 | 4.3778% | 赤外線センサー、超音波センサーなどを手がける電子部品メーカー。 |
| 6501 | 日立製作所 | 日本 | 4.1257% | 社会インフラ、産業機器、ITを幅広く展開。AI・デジタル・自動化領域にも関与。 |
| 3993 | PKSHA Technology | 日本 | 4.0977% | AIアルゴリズム、機械学習ソリューションを展開するAI関連企業。 |
| 4259 | エクサウィザーズ | 日本 | 2.9298% | AIプラットフォームや企業向けAIサービスを展開。 |
| 7779 | CYBERDYNE | 日本 | 2.5409% | 装着型ロボット「HAL」などを手がけるロボティクス企業。 |
| 6503 | 三菱電機 | 日本 | 1.9089% | FA機器、産業システム、電力・社会インフラなどを展開。 |
| 6702 | 富士通 | 日本 | 1.1231% | ITサービス、クラウド、AI、システム開発の大手。 |
| 6723 | ルネサスエレクトロニクス | 日本 | 0.7842% | 車載・産業向け半導体の大手。ロボット制御やIoTにも関係。 |
| 6902 | デンソー | 日本 | 0.6617% | 自動車部品大手。自動運転、センサー、制御技術などに強み。 |
| 6988 | 日東電工 | 日本 | 0.4108% | 高機能材料、電子部品材料などを展開。 |
| 6504 | 富士電機 | 日本 | 0.3168% | パワー半導体、電機機器、エネルギー関連設備を手がける。 |
| 6963 | ローム | 日本 | 0.1987% | 半導体・電子部品メーカー。パワー半導体やアナログ半導体に強み。 |
| 6479 | ミネベアミツミ | 日本 | 0.1749% | ベアリング、モーター、センサー、電子部品を展開。 |
| 6645 | オムロン | 日本 | 0.1731% | 制御機器、ヘルスケア機器、センサーなどを展開する自動化関連企業。 |
なお、ファクトシート上では株式24銘柄のほかに、国内株式先物として「225ミニ先物 0806月」が0.5328%組み入れられています。株式部分だけを見ると、サイバーエージェント、オービック、キーエンス、ファナック、SMC、安川電機などが上位に並んでおり、ロボット専業にとどまらず、AI・データ・ソフトウェア・センサー・自動化部品まで幅広く組み入れられていることがわかります。
構成を眺めると、なかなか個性的なETFです。ファナック、安川電機、ナブテスコ、SMCのようなロボティクス色の強い企業がある一方、オービック、JMDC、PKSHA Technology、Appier Group、エクサウィザーズといったAI・データ関連企業も相当な比重を占めています。そう考えると、2638は「日本のロボット株ETF」というより、日本のフィジカルAI・自動化・データ活用関連ETFと捉えた方が、実態に近いかもしれません。
過去のリターン
以下は、Global X Japanのファクトシートに掲載されている分配金再投資基準価額ベースのリターンをもとにしています。データ基準日は2026年3月31日です。
| 期間 | 対象期間 | リターン |
|---|---|---|
| 1年 | 2025/03/31 → 2026/03/31 | +13.96% |
| 3年 | 2023/03/31 → 2026/03/31 | 約+3.30%(年率) |
| 5年 | 2021/03/31 → 2026/03/31 | データなし |
| 10年 | 2016/03/31 → 2026/03/31 | データなし |
| 設定来 | 2021/06/21 → 2026/03/31 | 約-0.55%(年率) |
2638の直近1年のリターンはプラスとなっています。一方、設定来で見るとまだ大きく伸び切ってはいません。これは、2021年の設定直後から2022年にかけてグロース株・テーマ株が大きく調整した影響が尾を引いているためです。
ただ、直近ではロボティクスやフィジカルAIへの注目が高まっており、短期的に値動きが大きくなる場面も出てきています。実際、Global X Japan公式ページでは2026年4月24日時点の基準価額ベースで設定来リターンが+10.85%と表示されており、3月末時点のファクトシートから数字が大きく改善しています。テーマ型ETFらしく、短期間で状況が変わりやすい点は意識しておきたいところです。
NASDAQ100と日経平均との比較
2638は2021年6月に設定されたETFなので、ここでは設定時期から2026年4月24日ごろまでの値動きを大まかに比較してみます。

NASDAQ100は2021年6月21日時点で14,137.23、2026年4月24日時点で27,303.67と、この期間に大きく上昇しています。日経平均も同じく2021年6月21日の28,010.93から2026年4月24日の59,716.18まで上昇しました。
この比較だけを見ると、2638はNASDAQ100や日経平均に大きく劣後しています。理由はシンプルで、2638がかなりテーマを絞ったETFだからです。NASDAQ100は米国の巨大テック企業を中心に構成され、AIブームの恩恵を強く受けました。日経平均も半導体・商社・金融・輸出関連など、幅広い大型株の上昇に支えられています。
一方、2638はロボティクス・AI関連の日本株に集中しています。テーマの将来性はあるものの、組み入れ銘柄の業績や株価がすぐに指数全体へ反映されるとは限りません。ロボットやフィジカルAIは、生成AIのように短期間で株価に織り込まれるというより、設備投資・工場導入・社会実装・量産化といったプロセスを経て、じっくり広がっていくテーマです。
そのため、2638は「NASDAQ100の代わりになるETF」というより、NASDAQ100や日経平均とは別枠で、日本のロボティクス・AIテーマへ追加投資するETFとして捉えるのが自然だと思います。
どの証券会社で購入できる?
2638は東京証券取引所に上場している国内ETFなので、主要なネット証券の国内株式・ETF取引から購入できます。Global X Japan公式ページでも、全国の証券会社で購入可能と案内されています。また、NISA成長投資枠の対象銘柄でもあるので、NISA口座での購入も可能です。
| 証券会社 | 取扱 | 新NISA対応 |
|---|---|---|
| SBI証券 | ○ | ○ |
| 楽天証券 | ○ | ○ |
| マネックス証券 | ○ | ○ |
| 松井証券 | ○ | ○ |
| 三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券) | ○ | ○ |
グローバルX ロボティクス&AIの将来性
2638の将来性を考えるうえで、押さえておきたいキーワードがフィジカルAIです。
これまでのAIブームは、文章生成・画像生成・検索・広告・クラウド・半導体など、どちらかというとデジタル空間での活用が中心でした。しかし次の段階では、AIが現実世界の機械やロボットに組み込まれ、工場・物流・建設・介護・警備・インフラ点検といった現場で使われる流れが強まっています。Global X Japanの資料でも、AIは認知AI・生成AI・AIエージェントへと進化し、その先に「物理世界で動き・判断し・行動する」フィジカルAIがあると説明されています。
世界的にもロボット需要は拡大しています。国際ロボット連盟(IFR)のWorld Robotics 2025によると、2024年の産業用ロボット新規導入台数は54.2万台で、10年前の2倍以上となり、年間導入台数は4年連続で50万台を超えています。特にアジアは2024年の新規導入の74%を占めており、製造業の自動化が世界規模で進んでいることがわかります。
日本政府もAIロボティクスを成長分野として位置づけています。AIロボティクス戦略では、多用途ロボット市場が2040年までに約60兆円規模へ拡大する見込みが示されており、日本として世界市場の3割超・20兆円規模の獲得を目指す方針が打ち出されています。製造・物流・建設・介護・警備・災害対応・防衛など、人手不足や危険作業が課題となっている分野での活用も想定されています。
こうした流れを考えると、2638が投資するテーマの将来性は十分あると言えます。日本は産業用ロボット・FA機器・センサー・モーター・精密部品・制御技術などに強みを持っており、AI単体では米国企業が圧倒的でも、AIを現場の機械に落とし込む領域では日本企業にも勝負できる余地があります。
ただし、将来性があることと、ETFのリターンが必ず高くなることは別の話です。ロボット関連は設備投資サイクルの影響を受けやすく、製造業の景気が悪化すれば受注が落ちることもあります。また、2638は上位銘柄への集中度が比較的高く、特定銘柄の値動きがETF全体に影響しやすい面もあります。
2638は短期で安定的に上がるETFというより、日本のロボティクス・AI産業が中長期で成長すると考える人向けのテーマ投資ETFです。その点を踏まえたうえで、自分の投資スタイルに合うかどうか判断したいところです。
どのような人に向いている?
向いている人
- 日本のロボティクス・AI関連企業にまとめて投資したい
- ファナック、安川電機、キーエンス、SMCなどの自動化関連企業に関心がある
- 生成AIの次のテーマとして、フィジカルAIやロボットに注目している
- NASDAQ100やS&P500とは違う成長テーマを少し加えたい
- 新NISAの成長投資枠でテーマ型ETFを買いたい
- 個別株を選ぶより、ETFで分散して投資したい
- 短期ではなく、5年から10年単位でテーマの成長を見たい
向いていない人
- 低コストのインデックス投資だけで十分だと考える
- 日経平均やTOPIXより安定した値動きを求める
- 配当利回りを重視している
- 短期で大きな利益を狙いたい
- ロボティクス・AIというテーマに強い確信がない
- 特定テーマへの集中投資が苦手
- 値動きが大きいETFを持つと不安になりやすい
2638は、コア資産というよりサテライト向きのETFです。全世界株式・S&P500・NASDAQ100・日経平均・TOPIXなどを中心に持ったうえで、成長テーマへの上乗せとして少し加える使い方が合っています。
逆に、資産形成の中心を2638だけに据えるのはリスクが高めです。テーマ型ETFは、期待が高まる局面では大きく上がることもありますが、テーマが市場で注目されなくなったり、設備投資が減速したりすると、長期間伸び悩む時期も出てきます。
個人的には、2638は「日本のフィジカルAI・ロボティクスに乗るためのETF」として面白い選択肢だと思います。ただ、あくまで補助的に使う方が扱いやすいETFではないでしょうか。
まとめ
グローバルX ロボティクス&AI-日本株式 ETF(2638)は、日本のロボティクス・AI関連企業にまとめて投資できるテーマ型ETFです。
組み入れ銘柄を見ると、ファナック・安川電機・SMC・ナブテスコ・キーエンスのような工場自動化・ロボット関連企業だけでなく、オービック・JMDC・PKSHA Technology・Appier Group・エクサウィザーズのようなAI・データ関連企業も含まれています。単なるロボットETFというより、ロボティクス・AI・データ・センサー・自動化部品をまとめてカバーするETFと考えるとわかりやすいです。
一方、過去のリターンを見ると、NASDAQ100や日経平均に大きく勝ってきたETFではありません。設定来では伸び悩んだ時期も長く、テーマ型ETFらしく値動きは大きめです。
それでも、フィジカルAIの台頭、工場自動化の加速、人手不足を背景にした介護・物流・建設・警備へのロボット導入といった流れを考えると、テーマとしての成長余地は十分あります。日本企業が強みを持つセンサー・モーター・減速機・FA機器・産業用ロボットが改めて注目される可能性もあるでしょう。
2638は万人向けの安定ETFではありません。ただ、日本のロボティクス・AI産業に中長期で期待するなら、新NISAの成長投資枠で検討する価値のあるテーマ型ETFです。ポートフォリオの中心に置くというより、NASDAQ100・全世界株式・日経平均などのコア資産に対するサテライト枠として使うのが現実的ではないかと思います。
